若返りの治療Ⅵ
2022.6 その他このように老化細胞の過剰な蓄積(一般的には加齢に比例して蓄積も増える)がいわゆる「老化」を引き起こすなら、老化細胞を除去すれば良いことになる。老化細胞を体内から排除することで個体老化の表現型や加齢性疾患の改善、 さらには寿命の制御までをも試みる事を「senolysis」セノリシスという。
そして、現在のところ、このセノリシスを行う3種類の物質が発見されている。
まず1つ目は、 glutaminase 1(グルタミナーゼ1(GLS1))阻害剤がある。これは老化細胞の生存に不可欠な遺伝子としてGLS1がある。老化細胞の細胞内pHは、リソソーム膜の損傷によって低下し、腎臓型グルタミナーゼ(KGA)の発現を誘導する。その結果として増強されたグルタミノリシスがアンモニア生成を誘発し、低いpHを中和し、老化細胞の生存を維持している。つまり、このGLS1を阻害すれば、老化細胞を特異的に排除できると言う理屈だ。
2つ目がCD153-CpGワクチンだ。老化T細胞は、肥満者の内臓脂肪組織(VAT)に蓄積している。CD153ワクチン接種により、高脂肪食(HFD)を与えた肥満C57BL/6Jマウスから老化T細胞を長期的に除去することに成功した。