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マクロファージと不妊治療-I(腸内フローラとの関係)

2024.12 その他

不妊治療において卵子、精子におけるミトコンドリアの活性化がいかに重要かは前回述べた。
今回は、腸内フローラ移植(FMT: Fecal Microbiota Transplantation)がミトコンドリアを活性化するかについて、また妊娠へどのように影響するかについて述べてみたいと思う。

腸内フローラ移植とミトコンドリアの関係

腸内フローラ移植は、一言で言うと腸内環境の改善や腸内細菌叢の多様性を増加させることを目的としている。そして、近年の研究では、腸内細菌とミトコンドリア機能の間に相互作用があることが明らかになってきている。

a. 腸内細菌とミトコンドリアのクロスストローク

人体が単独で出来ない事をアウトソーシングするために腸内細菌を抱えているわけだが、この腸内細菌は短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)や、リポ多糖(LPS)などの代謝物を生成している。これらの代謝物は、ミトコンドリアの代謝に影響を与える。特に、酪酸はミトコンドリアのエネルギー代謝を促進し、酸化的リン酸化を活性化することでATP産生を増加させることが報告されている。
よって、腸内フローラ移植によって、腸内細菌の組成が改善され、短鎖脂肪酸の生成が増加することで、ミトコンドリア機能が向上すると言うわけだ。