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がん治療の現状(3)

2017.12 がん治療

前回までで、私の治療スタンスはなんと無く解っていただけたと思う。一言で言うと「やれる治療は全部しましょう」だ。

残念ながら、どれか一つの治療法で癌が完治することはほとんどない。早期発見で、Opeが出来、その後生活態度が改まったりした場合ぐらいか。その他の標準療法で対応できない症例に対して、何か良い方法がないかと常に模索している。すでに発生している癌に対しては出来るだけ体外に取り出せれば良い。Opeで取れるだけ取った方が良いと思う。放射線や抗癌剤で縮小させてからOpeに持って行くのも有効だと思う。転移巣があれば局所療法なども併用して物理的に治療すれば良い。問題は転移などが著明で癌を排除しきれない場合、ないし画像で捉えられない癌細胞に対してどうするかだ。まあ、大抵がStageIVで、所謂「末期癌」だ。近年では「癌幹細胞」の存在も多くの癌で証明されつつあり、再発の大きなリスクとなっている。ここで、標準療法以外の治療の選択になる。勿論、併用できるなら出来るだけ早期に治療した方が良いし、予防的治療が可能な物もある。私の選択の基準として、まず、理論的に正しいもの。次に、副作用のないもの。そして、海外などで既にある程度の実績のあるもの。としている。

気になっている例を挙げると、BNCT(Boron Neutron Capture Therapy)というものがある。ホウ素を癌細胞に取り込ませて、中性子線を照射し、癌細胞を選択的に破壊する治療で、「放射線治療」の範疇だが、ホウ素の代わりにガドニウムを用いたより強力なGdNCTなどもある。ほぼ日本独自の技術で、かつては原子炉でしか出せなかった中性子線を加速器で出せるようになった所が大きなターニングポイントだ。かなり実用化の段階だが、それでもまだ、重量子線のような結構大げさな施設が必要だ。実はこの小型化技術の特許を持っている社長がいるのだ。3mから最小1m程度の加速器で出来るのだが、そうなると現在MRIを持っているクラスの病院に全てに導入出来る事になる。そうすると、Opeの必要が無くなる症例が多くなるだろう。「神の手」でも切除しきれない衛星結節も一掃できるのだ。しかし世の常で、この小型化技術もせっかくの特許があっても資金がなくて実用化できていない。

遺伝子療法も気にはなっている。まず、中国開発のRT181投与。これは、レンチウイルスを用いて、癌細胞にCDC6タンパクshRNAを作用させて、がん細胞中の細胞を増殖させるために発現するCDC6タンパクを作れなくするやり方だ。その後、癌抑制遺伝子の「p53」や血管新生阻害剤の「E10A」をアデノウイルスなどベクターにして送り込むと言うものだ。その他、「コロイドヨード」やら「テラヘルツ波」などなど。興味のある方は調べてみていただきたい。