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若返りの治療Ⅳ

2022.4 その他

前回ざっとお話しした「老化細胞」だが、そもそも名前自体が紛らわしいと思いませんか?

実際は「細胞周期が停止し、細胞増殖を行わず、かつ細胞が安定的に生存している状態の細胞」の事だが、この細胞自体が「老化」しているわけではない。確かにこの細胞が蓄積してくると、SASP (senescence-assosiated secretory phenotype)により各種の加齢を促進する働きをしているが、それだけじゃない。発癌予防など色々と有益な作用があるのは前回述べた通り。私的には「停止細胞」とでもしてくれた方がわかり良いと思うのだが。

そもそもこの「老化細胞」はと言うと、ヒト胎児線維芽細胞が一定回数の細胞分裂を経た後に増殖が止まり、さらにその後も細胞は死滅せず生存し続ける現象として発見された。そしてこの現象を細胞が死滅するアポトーシスと異なることから、「細胞の老化」と名付けられたと言う経緯がある。

まあネーミングの問題はさておき、身体を正常に保つための細胞の新陳代謝のためには、プログラミングされた細胞死であるアポトーシスを発現させて古くなった細胞を除去するのが合理的だ。ではなぜ老化細胞なのだろう?