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肥満も感染症? 免疫に関わる腸の話

2018.2 免疫療法

前回までで、癌治療における免疫療法の優位性を書いた。実は免疫療法は癌治療に有用なだけでは無い。特に「腸内フローラ」や「マクロファージ活性化」は「免疫」関連の治療法だが、他の疾患にも有効性が高い。現在の難病と言われる疾患はその原因の殆どが免疫異常だ。癌などは免疫の低下であるが、アトピー、花粉症はじめ、潰瘍性大腸炎などもいわゆる自己免疫疾患だ。つまり、免疫のターゲットが狂って自分の臓器を攻撃している状態のことを言う。どうして狂うのかはまだよくわかっていないが、食事、生活習慣、ストレスなどの環境要因だろうと言われている。実際、原因は患者さんごとに異なっていると思うので、これらの疾患は、言わば「症候群」だ。だから、代替医療も含めて「この人には効果があるが、この人には効果が無い」ということになってしまうのだろう。

20世紀の初めまでは「感染症」が致死的な病気であった。結核など現代の癌より恐れられていた。有効な治療法がなかったからだ。しかも、癌と異なり感染するのである。ところが、抗生物質の登場によりこれらの感染症はもはや脅威ではなくなった。一方この頃から、生活習慣病や自己免疫疾患が増え出している。

ここで、免疫に深く関わる「腸」のお話しをしよう。「腸内細菌」だが、細菌の分布を表現するのに「お花畑」を意味する「フローラ」という綺麗な単語が使われて「腸内フローラ」という言い方が有名になってきた。ちょっと前まで「便移植」などと言っていたものだが、正確には「便」ではないし、何よりイメージがよろしくない。そのフローラの話になると必ず「痩せ菌」の話になる。特に女性は100%食いつく。いや、むしろ腸内細菌と自己免疫性疾患や自閉症の話をしていても、「痩せ菌」ってあるんでしょ? と聞かれることが多い。確かにあるのだが、この話は後ほど。まあ、ダイエットは男女問わず現代人の最大の関心事のようで。