なぜ免疫療法なのか? (1)
2018.1 免疫療法一般的に10mm以下の癌は画像で捉えられない。「オレは5mm以下でも見付けるぞ!」と言われるエコーの名人の先生もおられるが、はてそんな先生が何人おられるだろうか? 一般の患者さんがそんな先生に見てもらえる確率は限りなく低い。早期癌にしろ再発にしろ、画像に捉えられない癌は、オペや放射線治療の対象にならない。腫瘍マーカーが高いと言うだけで、副作用の強い抗癌剤を投与するわけにもいかない。オペ後に念のためちょっと流すのが関の山だ。こういう場合「免疫療法」が現在唯一の選択肢なのだ。また他臓器に転移していたりした場合も、標準療法では抗癌剤しか選択肢はないが、効果と副作用を考えると効果的とは言いがたい。こんな時にも副作用の心配のほとんどない免疫療法が選択肢になる。全身状態がかなり悪化していても治療可能だ。
免疫治療が優れている点をもう一つ。それは、「癌幹細胞」に対して現在のところ唯一の治療法であると言うことだ。一応、未だ「仮説」となっている「癌幹細胞」だが、色々な癌で証明され、ほぼ間違いないのではないかと思う。癌の転移やら再発に関しても理屈が通る。そして、癌治療の概念自体も変えなくてはならない程の重要な事なのだ。
癌には単なる「癌細胞」と「癌幹細胞」がある。細胞は自分と同じ細胞にしか分化出来ないので、「癌細胞」は「癌細胞」にしか分化できない。ところが、「幹細胞」は別の形態の細胞に分化できる。「癌幹細胞」は「癌細胞」にもなり「癌幹細胞」にもなる。これは「女王蜂」に例えられる。「働き蜂」を生み、「女王蜂」も産むからだ。つまり、「癌幹細胞」が体のどこかに残っていれば、癌は再発すると言う事だ。