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結核菌と癌との関係

2018.9 免疫療法

色々あるBRM(Biological Response Modifiers)療法の中でも最も興味深いのがBCGだ。カルメット・ゲラン桿菌(Bacille de Calmette et Guérin)とフランス語を略したものだ。フランス語は知らなくとも、結核の予防に用いる弱毒のウシ型結核菌製剤である事は日本では誰でも知っているだろう。大抵の方は子供の頃受けさせられたはずだ。(アメリカでは行なわれていないので意外と知名度が低い。)

近年では膀胱癌に対するBCG注入療法が有名だが、結核菌と癌との関係は古くから指摘されていた。1959年フランスでマウスの白血病細胞の増殖が抑えられたとの報告あたりが最初と思われる。ざっくり言うと、結核菌で局所ないし全身の免疫能を惹起すると言う発想だ。BCGのみを皮下注射する方法の他に、腫瘍細胞との混合液を皮下注射する方法や、直接がん細胞に注入する方法が試された。白血病や絨毛癌、バーキットリンパ腫などに用いられ有効性が報告されている。一方、熱発や肝機能障害などの副作用も報告されており、特に腫瘍に直接打ち込む方法では副作用が最も大きかったとなっている。

しかし、結核菌関係で癌といえば、最も有名なのが「丸山ワクチン」だろう。丸山千里先生が1966年、日本皮膚科学会雑誌に「結核菌のワクチンでがんが治療できる」と発表して以来、何と40万人が治療を受け、現在も治療が行われている。保険収載に関しては色々言われているが、本題から外れるのでここでは割愛。効果についても賛否両論ではあるが、効かない薬がこれだけ長期間、多くの人に用いられているとしたら不自然だろう。効果があるからこそ続いていると考える方が自然に思うが、いかがだろう?そして、最近ようやく、その作用機序も解明されつつある。