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「経口寛容」と腸内フローラ

2019.2 免疫療法

ちょっと腸について長くなるが、免疫系にとって腸は非常に重要で面白いのでもうしばらくお付き合い願いたい。

そもそも腸内細菌もそうだが、日々口にしている食物自体が免疫的には「抗原」に当たる。本来ならばこれら食物に対して免疫が働かなくてはならないが、そうはなっていない。
食事のたびに免疫応答が起こったりしたら、たまったものじゃないのはお分りいただけるだろう。生命の維持そものにかかわってくるからだ。
ところが、人間の身体は上手く出来ていて「経口寛容」という仕組みがある。どんなものかと言うと、経口的にある抗原を投与しておけば、その抗原が経口以外で投与されても抗原特異的な免疫応答が抑制されるというものだ。よくアトピーなどの「減感作療法」として用いられている原理だ。

そして、この腸管免疫の特異的な現象である「経口寛容」の誘導にも腸内フローラが重要な役割を果たしている事がわかってきた。
どうゆう事かというと、腸内細菌が存在しなければ「経口寛容」が誘導されないのだ。(ちなみに、この事は無菌マウスの実験で立証されている。)