マクロバイオームの精神的影響について
2024.4 免疫療法前回でマクロバイオームが各種疾患に密接に関係していることを話したが、今回は更に心理的、精神的影響をも与えている。それも我々の想像以上に大きな影響を与えているというお話。
人間の腸内マイクロバイオーム、つまり消化管に住む微生物の複雑な生態系は、代謝や免疫機能から気分や認知プロセスに至るまで、様々な側面に影響を与える重要な役割を担っていることが明らかになっている。この微生物群は、我々と共生関係にあり、心理的な健康や行動にさえ影響を及ぼす可能性が指摘されている。それらを以下に列挙すると。
腸脳軸: 双方向のコミュニケーションハイウェイ
腸脳軸は、腸の腸神経系(ENS)と中枢神経系(CNS)を結ぶ双方向のコミュニケーションシステムであり、神経系、ホルモン系、免疫系を介した経路を含んでいる。この軸は腸と脳の間で絶え間ない対話を可能にし、腸内マイクロバイオームがこの相互作用において重要な役割を果たしていると言われている。例えば、特定の腸内細菌は、気分や不安を調節するのに必須なセロトニンやガンマアミノ酪酸(GABA)などの神経伝達物質を生産することができる。体内のセロトニンの約90%が腸で生産されているという事実は、腸内マイクロバイオームが心理健康において重要な役割を果たしていることの一例だ。