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肥満も感染症? 免疫に関わる腸の話(2)

2018.3 免疫療法

腸が免疫系に大いに影響している事はご存知だと思う。人には腸だけでも100兆個もの微生物が存在している。消化管は人体の構造から見れば、皮膚と同様に「体外」との接点だ。よって、腸を通過するあらゆる分子や細胞を免疫系が監視している。免疫細胞の6割が腸にあり、その基地が虫垂だ。では、なぜ腸内細菌は免疫系によって排除されないのか。それは、人体にとって腸内細菌が必要であるからだ。簡単に言うと人が進化によって遺伝子を獲得しなければならないような仕事、例えばビタミンの合成などを腸内細菌にアウトソーシングしているのだ。そして、腸内細菌は人が食べたものを栄養にしているので、人それぞれその組成が異なる。

およそ腸とは無関係と思われる「自閉症」などの疾患も「腸内細菌」が関与していることが明らかになってきている。これらの疾患はウイルスが脳を制御する物質を放出することによって引き起こされており、このウイルスを排除できない組成の腸内細菌を持っている人が発症するという考え方だ。突飛な話ではない。寄生虫が宿主を操る例は自然界では多々見られる。例えば狂犬病ウイルスは宿主の犬を他の犬に噛みつかせて繁殖し続ける。

さて、本題の「肥満」もカロリーのinとoutだけでは説明できない事は前回も触れた。摂取した食べ物のカロリーではなく、肝心なのは、それが体にどれだけ吸収されるか、またはどれだけが使われ、どれだけが蓄えられるかで考えなければならない。まずエネルギーをどう吸収するかは、その人の腸内細菌の分布によって異なる。フィルミクテス門がバクテロイデーテス門より多い人は最大で2%余分にカロリーを吸収すると言われている。たかが2%と侮ってはいけない。同じ2000kcalの食事をしていても人によっては2040kcal吸収している事になる。体重60kgの人なら1年で約2Kgの増加、10年で約20Kgの体重増加となり立派な肥満体になる。更に、腸内細菌はエネルギーを消費するか、体内に蓄えるかにも重要な影響力がある。痩せた人に高カロリー食を与え続けるとフィルミクテス門の細菌が増えて来る。つまり太りやすい体質になってくるのである。