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腸内フローラとアレルギー

2019.1 免疫療法

現在でも発展途上国では乳幼児はウイルスや細菌などの病原微生物にさらされている。結果、感染症で命を落とす乳幼児が依然多いことも事実だが、一方でT細胞には Th1優勢(Th1>Th2)へのシフトがほぼ確実にみられる。反対に良好な衛生環境の先進国では、病原微生物にさらされる危険性が少ない上に、直ぐに抗生物質が投与される。おかげで感染症で命を落とす乳幼児は少なくなっているが、T細胞は胎児、乳幼児期のTh2優勢 (Th1< Th2)のままで、Th1優勢(Th1>Th2)へとシフトがうまくいかないと考えられる。その結果 IgE抗体を主体としたアレルギー・アトピー性疾患発症へとつながるとされている。

実際、先進国では小児の約20%に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー・アトピー性疾患がみられるという。一方これらの疾患は発展途上国の小児にはほとんど発現していない。

また、少し面白い説として、有害な病原微生物に対抗することで発達した抗体や T細胞受容体(TCR)などは、衛生環境が良過ぎて有害な病原微生物と遭遇する機会が稀になると、本来免疫の攻撃対象にならないような、われわれの体表面(皮膚や粘膜)の常在菌叢や、病原性の弱いウイルスに向けられるというのだ。
これらに対する獲得免疫応答の暴走が、各種アレルギー・アトピー性疾患を引き起こすというものだ。なかなか、的を得ているように思えるのだが、いかがだろうか?