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マクロファージとTregの関係

2025.06 がん治療

従来のM1/M2二分類は、マクロファージの極端な両端を定義するにすぎず、実際にはその中間に多様な機能的状態を持つマクロファージのスペクトラム(連続体)が存在する。これらは病態・組織環境・代謝状態などに応じて再プログラムされる柔軟性を持ち、その一部はTreg誘導促進型、一部はTreg抑制型の性質を有する。

たとえば、M1/M2の中間型であるM2b型は、IL-10とTNF-αを同時に分泌することで、部分的な免疫抑制と炎症誘導のハイブリッド的性質を持つ。このようなマクロファージは、がん環境下ではTregの誘導に関与する一方で、適切な刺激下では逆にTregの制御を解除する方向にも働く可能性がある。

このようなマクロファージスペクトラムの多様性こそが、癌免疫療法における精密な免疫制御のターゲットとなり得る。すなわち、特定の段階にあるマクロファージを操作することで、Treg制御を最適化し、免疫抑制的な腫瘍環境を可逆的にリプログラムできると考えられる。