「AEC2幹細胞活性化薬」の開発
2025.07 がん治療再生医療の領域において、臓器固有の幹細胞(体性幹細胞)の活性化による自己再生誘導は、近年最も注目されている革新的アプローチの一つだ。これまでの再生医療は、外部からの幹細胞移植やiPS細胞などの細胞移植療法が主軸であり、技術的進歩と共に一定の成果をあげてきた。しかし、これらの治療法には依然として大きな課題がある。具体的には、細胞の調製・品質管理に高度な技術とコストがかかること、免疫学的拒絶や腫瘍形成のリスク、治療効果のばらつきなどが挙げられる。こうした問題を克服すべく、体内に既に存在する幹細胞を薬理学的に賦活化し、自己修復機構を促進する戦略が提案されてきた。

実は免疫の世界でも初期には体内でのリンパ球増殖を目指してきたが、結局うまくいかず、体外培養が一般的になった経緯がある。それだけに、再生医療においては体内での幹細胞賦活が叶えば画期的なことと思う。iPS細胞の癌化リスクの排除や培養法の進歩によっての大量作成とコストの低減が進められている。リンパ級の例にもあるように体外での培養の方が効率が良いのかもしれないが、今後非常に注目すべき技術であることは確かだと思う。