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がん細胞内(腫瘍内)細菌への影響

2025.11 その他

がん細胞内(腫瘍内)細菌への影響

 先述した通り、腫瘍内細菌は口腔・腸内から供給され、腫瘍環境が選別する構造だ。腸内フローラ移植でドナーの腸内叢を置換し、全身の代謝・免疫トーンを変えると、腫瘍内に流入・定着する菌の構成やふるまいが間接的に変化し得る見通しだ。前臨床ではドナー由来菌が腫瘍内に検出される報告があり、腫瘍内叢への波及が示唆されている。人での直接置換の確証は限定的だが、供給源制御と選択圧変更による「間接弱毒化」は十分実務的な目標だ。

抗生剤・腸内細菌移植・抗PD-1の推奨プロトコル

では、具体的に腸内フローラ移植から抗PD-1投与に際しての臨床現場では「短く・狭く・順番どおり」が合言葉だ。

  • 標的短期抗菌だ。Fn(Fusobacterium nucleatum)高負荷の大腸がんではメトロニダゾールを7~14日だけ併用する設計が妥当だ。ゲムシタビン不活化が疑われる膵がんではフルオロキノロンを7~10日だけ併用する設計が妥当だ。
  • ウォッシュアウトだ。抗生剤終了後に48~72時間を置く設計が推奨だ。
  • FMT施行だ。カプセルまたは下部内視鏡で1~2週に1~3回投与する開始設計が現実的だ。
  • ICI(Immune Checkpoint Inhibitor)
  • 再導入だ。FMT後1~2週でPD-1/PD-L1を再導入する設計が妥当だ。必要に応じてブーストFMTを追加する設計が有効だ。